
田舎の常識である。
甘柿は自分達のためにさっさと収穫して、クマのために渋柿をぶら下げておくのである。もちろん渋柿も皮を剥いて縁側に干せば真冬の高級デザートになるから収穫するのだが、クマをおちょくるために残しておくのである。
ということが常識であるか本当であるかは別として、クマは案外バカなので、甘柿と渋柿の区別がつかず、おいしそうだからと食べてみて、見事ハズレの渋柿を食べると怒って幹や枝を殴り倒したりするのです。
微笑ましいとも言えるけれど、折られた柿の木にしてみればいい迷惑。スズメでさえ甘柿と渋柿の区別がつくのに、急激に寒くなって街にウロウロ下りてくるところからも、あまり自然に敏感とは言えないのです。
今年は40度の真夏から20度近く下がって一気に冬支度になりました。けれど草木はしっかり紅葉して落ち葉を散らして、忙しいながらも秋の実を結んでいます。それに比べてクマは突然の寒さに慌ててエサ探しなので、草木よりも鈍感ということです。
さて、渋柿だらけにしておいてクマを撃退した後は、いよいよ冬のデザート仕込みとして渋柿を収穫します。

とはいっても今は田舎に住んでないし、家に柿の木もないので、某〇コープやら近所の地産地消コーナーやらを回って買ってきました。4個で400円だったので「ちょっと高いな」と感じながらも数袋買ってから他の場所を回ったら、6個で350円という激安渋柿が売っていました。前者が1個100円なら、後者は1個50円ちょい。実に半額です。
6個で350円の渋柿を登山用リュックに大量に詰めて買って帰ってきたのですが、よくよく見たらまだ青柿だったので、先に少し熟し気味の4個で400円の渋柿から処理することにしました。
古布で柿を拭いて汚れを取って、包丁で皮を全て剥いて、ビニル紐で柿を束ねて、物干し竿にかけて完成!あとは寒さで萎んで糖分が噴き出てくるのを待つだけです。剥いた皮もザルに上げて寒空にさらしておけば、渋味が抜けて立派なデザートになります。
クマもこれくらい手間をかけなきゃ、楽しい冬越しはできないよー。